父と私
今、私の父親が遠方に長期出張に行っております。
父はこれまで一人暮らしもしたことがないし家のことなどほぼできないに等しいので、母も私も出張が決まった頃からそれはそれは心配してまして、洗濯機を使う練習を1度家でしておいたほうがいいんじゃないかとまで相談したくらいです。
家が大好きな人で、これと言った趣味もないようなので、1人暮らしだなんて大丈夫なのかと子供以上に心配されていますが、とりあえず今のところは無事なことは判明しています。
というのも父も使えないのになぜかiPhoneを持っているため、出張してから毎日のようにLINEで近況報告をしているんです。「今日のご飯です。」と写真を送ってこれば、私は「今日の娘です。」という風に夜になると連絡を取ってます。
父親とメールをしたことなんて今まで数えるくらいしかなかったので、いざしようと思うと意外と難しいんですよね。いつも迷うのが語尾。なぜか敬語。ホワイ?「ですよね。」とか言っちゃってる自分に戸惑っているんですけど、なぜか父親も標準語だからまぁお互い様ってことで。
よく聞くけれど親になってから親のありがたみがわかるってのは本当実感しました。ちなみに親になってジジババのありがたみもよくわかったので、私は親に足を向けて眠れない女です。
昔は母親に向かって「私はお父さんの方が好きだー!!!」っつって聞かれてもないのに宣言するほどの父親っ子でした。これ今、娘に言われたらたぶん泣く。号泣する。人目もはばからず鼻水を出す自信もあるくらい。本当お母さんごめん。
お父さんの洗濯物と一緒に洗わないでよ!って言ったこともないし(言ったら母親に怒られる)思ったこともない。お父さんの枕クサい!って思ったこともない。(これは母も同意見)父親に限らず母親に対しても反抗期が来たことはないのです。それがいいのか悪いのかはわからないけど、私の自己分析によると反抗期が来なかったのは両親が怖いからだと思います。「うっせんだーよ!じじい!」とか言ったらマズい。「勝手に部屋入んなよ!ばばあ!」とか言うと取り返しがつかない。検証しなくてもわかるくらい彼らは怖い。
怖いったっていっつも怒っているとか暴力ふるうとかそういうことではありません。母親とはいたってよくある親子だと思うし、父親にいたっては今まで叱られたのは1度だけです。もう本当にこれは怖かった。母親も「あの時のお父さんは怖かった。」って今でも言うし、私も心の底からビビってしっかり刷り込まれたので、それから父親に叱られるようなことはしてません。(ちょっと嘘だけど)注意程度のことならいくつもありますけどね。
私は叱られるのが本当に嫌なので叱られてまで反抗しようと思わなかったってところが本当の所だと思います。
うちのお父さんは臭うことなくジェントルマンじいさんになったなぁと思っていたのに、先日実家で父のネックウォーマーを借りようと思ったら、マジで臭かった。「うわっ!くっさ!」って母親に渡してしまいました。あれ?これって反抗期?って思ったけど、ただくさいだけだったのでたぶん反抗期じゃないと思います。よかった。今頃来なくて。
自分が小さいころの事は覚えていないけれど、うちの夫が「娘ちゃんがかわいすぎる。今この時をビデオに撮っておいて、結婚式の日の夜に再生しながら泣くのだ。」と遠くを見ながら言っていたのを聞いて、「うわぉ!この人、本物!」って思いながらうちのお父さんはどうだったんだろうな?って思ってちょっと娘が羨ましくなりました。って書きながら思い出したけど、父は結婚式の時号泣してた。終わってからじゃなくて本番で号泣。後日、友人に「お父さんめちゃ泣いてたね。」って指摘されるほど泣いていた。
私も泣いたけど。泣きながら抱き合ってたけど。なんだこの親子。
おしまい。